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不倫研究サークル
第14章 愛莉
「とりあえず、検査薬を使ってみるよ」

愛莉は、白いスティックを持ってトイレへと消えた。


僕は、愛美と二人取り残されたのだが、何とも気まずい。愛美にしてみれば、娘を孕ませてしまった男を目の前にしているのだ。文句も言いたくなるだろう。

「まさか、母娘、二代にわたって同じことになるとはね……」

「す、すみません……」

「謝るような事じゃないさ。 アンタだけのせいじゃないし」


たしか、愛美は高校に入学したての時に妊娠が分かって、そのまま愛莉を出産。一人で愛莉を育てたと聞いている。


「あの、僕、責任取りますから、その……、大学も、ちゃんと卒業させます。 ちゃんと愛莉と結婚して、愛莉も子供も、絶対に幸せにします」



「勝手に盛り上がらないでよ」
いつの間にか愛莉が戻ってきていた。手には先ほどの白いスティックを持っている。

「愛莉、どうだったの?」

「やっぱり、反応してる。 妊娠してるみたい。」

「愛莉、ゴメン。 でも僕は、ちゃんと愛莉も子供も面倒見るから」

「だから、勝手に盛り上がらないで」愛莉の目が冷たかった。


「圭の子じゃないよ」

「え? どういう事?」

「だって、圭はちゃんと避妊してたじゃない」
たしかに、僕はいつもコンドームを使用していたし、妊娠の可能性は限りなくゼロに近い。じゃあ……?


「アイツの子だよ」


「だって、元カレとは一か月以上も前に別れたじゃない」
愛莉が、あの後も元カレと会っていたとは思えなかった。

「アイツと別れた日……、わたし、むりやり犯されたの」
あの日、たしかに愛莉の服装は乱れていた、それに顔や身体に殴られた痕もあった。でも、まさか、避妊しないでしたという事か?

「しかも、避妊しないで……。 殴られて、抵抗できなかったの……」
僕は、愛莉の元カレに激しい怒りを覚えた。やはりあの時、警察に突き出して置けば良かったと後悔する。

「愛莉……、堕ろしな」
黙って聞いていた愛美が冷たく言い放った。

「あ、愛美さん、そんな!」

「アンタは黙ってろ!」

愛美にピシャリと言われ、僕はひるんでしまう。

「いいかい、アイツって、あいつのことだよね、愛莉。 何度も言ってるが、あいつはダメだよ」

「知ってる……」

「それに、アンタ、ワタシをこの年で『おばあちゃん』にするつもり?」
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