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BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】


「お前に関係ねーだろ!!」

早朝、それは突然響いた。


写真は昨夜あのまま、麗さま預かりとされてしまった。結局彼女は誰だったのか。…確かにわたしには関係ない。例えわたしが想像している通りだとしても、何も言う権利はない。…わきまえている。

ろくに眠れなくても起床時間は容赦なくやってくる。半分寝ぼけ眼で、寝間着から普段着へ着替えていたのだけど…今しがたの怒声と、直後何かがぶつかるような大きな音に小さく悲鳴をあげた。

「な…なに?」

…声の主は、わかる。流星さまだ。
いつ帰られたんだろう。

音は、なに?…リビングの方からした。怖いけど確かめずにはいられないし…朝食の準備にも取りかからなければならない。
部屋を出て恐る恐る廊下を進み、気付かれないようまずは台所へと足を踏み入れる。柱の影からそっとリビングを覗き込んだ。

「…!」

そこにいたのは、こちらに背を向けた状態で仁王立ちになる流星さまと…その足元で膝をつきしゃがみ込む、麗さまだった。…口元を押さえている。

鈍いわたしでも瞬時に察した。さっきの音は流星さまに殴り付けられた麗さまが、倒れ込む音だったんだ。

…なに?なんで?喧嘩…?…どうしよう。緊迫した場面を目の当たりにし、鼓動は早まった。
流星さまからは、背中越しからでも怒りと攻撃性を感じる。…怖い。けど止めなくちゃ。勇気を絞り出し、一歩足を踏み出した。


「…痛ってぇな……、!…おい」

…ああ、麗さまも殺気だっている。やり返したい衝動を押し殺しているのがひしひしと伝わってくる。
戦き、逃げ出したくなる気持ちを堪え声をかけようとした瞬間、目があった。麗さまは瞬時に後ろを見ろと流星さまを促す。

「あ?! ……未結」

振り向いた直後の流星さまの目は…怖かった。血走って、殺気すら含んでいた。でもわたしの姿を捉えた瞬間、それは一気になりをひそめた。

「あの…」
「…俺もう会社行くわ。朝飯要らねーから」
「あ…っ、りゅ…っ」

目線を落としながら、わたしの横をすり抜け流星さまは去っていった。リビングのドアを静かに閉ざして。
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