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BeLoved.
第8章 【男と暮らすということ】

「未結ー」
「あ…、はいっ!」
時刻は午後九時近く。我が家は今、流星さまとわたしの二人だけ。夕食も終え、後片付けも明日の朝食の下拵えも済んだ頃だった。
廊下から呼び声が聞こえたかと思うと、流星さまがひょっこりと台所に顔を覗かせた。
「風呂できてる?」
「あ…はい、お入り頂けます」
「じゃ、行くぞ」
「え?……えっ?」
短いやり取りのあと有無を言わさず手を引かれ、辿り着いたのは洗面所。彼はドアを開け、すぐ脇のスイッチに触れ明かりをつけた。
一瞬で照らし出される室内。壁に始まり、家具も家電もすべて白で統一されているため、余計にまぶしく感じられる。
廊下から入って右手が浴室に続く引き戸。左手にはシンプルな手洗い場が設置された、広い洗面台。そのまま何も置かれていないメイクスペースと続き、壁には室内全体が映り込みそうな大きな鏡が貼られている。
そして隅には、最近仲良く(?)なってきたドラム式の洗濯機。
もはや見慣れた光景だ。普段と違うのは、彼とわたしのふたりが居ることか…。
「え"!?」
彼は何の前触れもなく、着ていた部屋着をさっさと脱ぎ始めた。咄嗟に顔を逸らしたけど、その先にはありのままを写し出す鏡。全く意味がなかった…。
「あ、あのっ、なんっ、何のご用でしょうか?!」
せめてもと目だけは閉じ、わたしが連れて来られた理由を叫ぶように尋ねた。シャンプーもリンスもボディソープも、補充するにはまだ早いと思ったけど…。
「は?一緒に入んだよ。決まってんだろ」
「…えっ」
「先入ってるから」
さも当然、といった口調でいい放った彼の姿は、わたしが顔を向けるとほぼ同時に浴室に消えた。
磨りガラスの向こうから、シャワーの音がし始める。…この引き戸の先にいる流星さまは、正真正銘の、裸。…だよね。お風呂なんだから当たり前だけど。
いやちょっと待って。……ふろ?フロ?お風呂!?
……わたしも裸になるってことだよね?!
あまりに突然の展開に頭も体も着いていかず、しばらく立ちすくんでしまった。

