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BeLoved.
第45章 【彼女の根底にあるもの。】

「っあ…!」
目が覚めた。…全身が寝汗で濡れて気持ちが悪い。
まるで今まで首を絞められていたみたいに苦しい。横たわったまま、夢中で酸素を貪った。
「……」
ねえ
おねがい
『わたし』を見て
あれは、あの頃のわたしが繰り返していた言葉。
───なんで今更思い出した?忘れていたのに。
おばあちゃんがたくさん愛してくれたおかげで
忘れていたのに。
…おばあちゃんを亡くした時ですら
思い出さなかったのに。なんで今更?
両手で顔を覆い、少しずつ呼吸を整えていく。
「…はは…っ」
落ち着いた頃、自嘲が漏れた。
『なんで』?理由なんかわかってる。
それだけ彼らのことが好きだから。
──この暮らしを始めて、一年。
たくさん愛された。大切にされて、満たされて。
毎日が幸せだった。とても。
だけど、一緒に過ごす時間が長くなればなるほど
愛されれば愛されるほど不安は色濃くなった。
『いつまでこのままでいられるの』って。
そこへきて彼らのあの言葉。
──俺らがいなくなっても
──後のことは心配ないよ
本当にわたし、どれだけ単純なんだろう。
『終わり』を意識した瞬間に感じたもの。
それがそっくりそのまま夢に現れるんだから。
どうしてこんなに好きになってしまった?
あんなに怖くて、住む世界が違う人たち。
「……」
それもわかってる。
彼らはわたしが欲しいものをくれるから。
愛されていたい。満たされていたい。
大切にされたい。優しい声で名前を呼ばれて
頭を撫でられて、優しい腕に抱かれていたい。
わたしの深い部分に根付くもの。
満たしてくれるのはいつも彼らだ。
さみしいのはもういやだ。
ひとりぼっちはもういやだ。
『いらないもの』になるのはもういやだ。
ねえ
おねがい
『わたし』を見て
「〰️〰️あぁ……もう!……」
次から次に感情が込み上げてくる。名前のわかるもの、わからないもの、本当に色んなものが。
その中にひとつだけ異質なものがあった。
知ってる。これは……疼き。

