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第11章 １１

（やめて　お願い　私を　代わりになんかしないで

　私は何？　私はどうしたらいいの？　私には　何も無いの――？）



「あっ・・うああっ・・あっ・・ああっ・・・っ・ぐ・ああっ・あっ・」


そう叫ぶ紗織の声も、実際に口から発せられるのは
意味のまるで無い母音や吃音の繰り返しであった。
開かれた唇は銀色に光る液を垂らしながら、わなわなと震えている。


　きっと　このまま　気が狂う。

　心と身体が引き裂かれる。

　反発し、分離した魂は　男の傀儡と化した肉体を嫌って　遥か遠くに離れていく。

無理やりに押し付けられる快感が　ナイフのように鋭敏に尖って

逃げる心を追い立てて、深く　ずたずたに抉っては、ばらばらに引き裂く。


　苛酷な律動が　だんだん猛烈になって来るにつれて、
男の肉牙は、先走る快感のために、
紗織の卑猥な肉と肉の狭い部分に　ずくずくと入り込む

その運動を阻止するかのように　きつく筋が収縮して、
微々たる隙間も許さないあらゆる接触面で
絶妙な摩擦感を生じさせて紗織の快楽の中枢を突き上げる。
　じゅ　あ・・じゅ　あ・・じゅ
白んで溢れる蜜と変えも、足りようのない淫靡な旋律を
紗織は絶え間なく両口から流した。
男も堪らないように少し掠れた声をあげた。


　もう　　好きに　すればいい

　いっそ　私の全てをも　　打ち砕いてしまえばいい



「あ・・・・ッゥ　いッ・
　あああっ！・・アッああッ・・うあ・・

　はぁ・や、あっィ・・く・・ぅ・ 　あっ・・っあ・あ・あぁああ――――」


　飛沫をあげて迫り来る絶頂に　口から吐き出した悲鳴のなかで
紗織は自分の意識が粉々に玉砕する音を聞いた。
四肢をぶるぶると震わせ、これ以上に無く反りあがった背筋はがたがたと跳ねた。

男は、尚　本能に従い躍動する　腰の動きを続けたまま、
ねっとりと絡みついた紗織の内壁に、ぎゅううときつく締め付けられると
膨らんだ白濁する欲情を、奥にめり込ませた先から噴き出させ、流し込んだ。