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Q 強制受精で生まれる私
第10章 4.0度目
「いやぁ、さすがにあの回数は腰に来ますね。でもあれだけ手を尽くしたんです。今度こそ上手くー」

「いやっ!! いやあああー!!」

 一部始終を思い出した私は悲鳴を上げながら先生を突き飛ばす。あまりに突然のことにさすがの先生も避けられず、ベットから飛ばされて尻餅をつく。痛む腰に響いたらしく苦悶な表情を浮かべながらのたうち回る先生から、後ずさるように距離を取る。自然と棚に置いてある小物に手が伸びる。

「つぅ…どうしたんですか、浜園さん。一体何がー」

「いやぁ!! いやいやいやぁー!! 来ないで!! 近寄らないでっ!!」

 痛みで起き上がれない先生に追い討ちをかけるように、パニックになった私は手当たり次第に掴んだ物を投げ付ける。自分が何を投げているのかは全然分からない。けれどもその何かが先生にぶつかり、先生は必死に体を竦めて身を守ることしかできずにいる。

「お、落ち着いて!! 落ち着いてください!! 浜園さん!!」

 手が空を切り、投げる物が無くなったと気付くと、私は玄関近くの鍵付きの部屋に逃げ込む。いつか着ていた服くらいしかない質素すぎる小部屋だけど、身を守るには充分過ぎる。手を伸ばして待ってくれと意思表示する先生を横目に、私は勢いよく扉を閉めて鍵をかけた。

 ドアの向こうからずしゃりと先生が物を払い除けてこちらに向かってくる音が聞こえてくる。

 この体も。心も。二度と壊されてなるものか。

 そう自分に言い聞かせながら、私はありったけの力を込めてドアを抑える。力んだせいかお腹の奥からくちゅりとした粘つく音が聞こえた気がしたけど、ただの錯覚だと思うしか無かった。


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