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Q 強制受精で生まれる私
第11章 4.5度目
 ずしりと重い水風船と化した何かを暖かい物…液体だろうか?…が限界まで満たすと、さっきまでの緩慢な動きが嘘だったかのように激流となってどこかに向かって流れ出す。あまりに速いせいか、流れていく先々でぴくりぴくりと軋みが生じ始める。

 前に進んだり戻ったりを繰り返す内に、暖かい液体は一番最初の点の所まで到達する。短いようで長い旅を終えた液体は感傷に浸ることなく、再び辿ってきた道をなぞり始める。

 一筆書きを思わせるその動きから、私はようやくこの暖かい液体が私の血であること。その血が駆け巡っていた容器が私の体であること。所々で軋むこのむず痒い痛みは脈動だと思い出す。そしてこの一際大きく打ち鳴らされるビートも…

 優しさの欠片も感じられない目覚まし時計に叩き起こされたそれぞれの器官が、己の務めを果たそうと体の節々で稼働し始める。さっきまでの静けさはどこへやら、うぞうぞ、うごうごと動き始めて私に苦しいという感情を思い出させる。体が急激に熱くなっていき、この地獄から救われたいのなら目を覚ませと全身が訴えてくる。

 身体が弾け飛びそうな程に酷く苦痛な灼熱地獄に身を裂かれる私の目の前に、一本の救いの手が舞い降りてくる。それは昔話で聞いた蜘蛛の糸なんかじゃなく、肌色一色の生々しい人の手そのものだった。伸びている腕の先には白一色の何の救いも感じられない、寂しい世界が垣間見える。

 ここも、あそこも対して変わらない気がする。
 それでも、私は迷うことなくその手を取り…

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