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Q 強制受精で生まれる私
第13章 5.0度目
 私はゆっくりと歩み寄り、画面の女優と同じように手で先生の苦しそうなペニスを優しく労り始める。まるで映像の教本を見ながらやり方を勉強する様に、ぎこちない動きで先生に奉仕する。こんなんじゃ全然気持ちよくないだろうなと思いつつも、操られたマリオネットみたいに女優の動きに合わせて、張りに張った肉竿を手指でたどたどしく扱く。

「あっ。あぁ…」

 画面から可愛さ満面な声で『気持ちいい?』と聞こえてくる。それに対し男優は『すごい気持ちいい。』と答える。私も同じことを聞くべきか一瞬悩むも、すぐにその気持ちを圧し殺す。

 これはただの性欲解消のためのオナニー。私は幽霊で、意味もなく先生のお手伝いをしているだけ。何をしたってこの人の中に私は帰ってこないし、私もこの人の所に戻ってこれる訳じゃない。ここには私だった肉があるだけで、私はもうどこにもいないんだ。

 これは、この行為は、ただ私がここにいるふり。それだけだ。
 その証拠に、あれだけ饒舌な先生が私に話しかけてこない。先生はオナホールとしての肉を相手にしているだけで、その眼に私は写っていない。

 私の存在は、もうどこにもない。

 どこにも許されていないんだ…

 『挿れちゃうね。』と宣言して、女優が男優に跨がって肉棒を下の口で飲み込んでいく。私も少し遅れてパンツを脱いで先生に跨がり、股布をわずかにずらして先生のペニスを飲み込んでいく。数時間前に挿れられたばかりにも関わらず、メリメリと内側を広げられる感覚だけでも身体中に電流が走り、思わずビクビクッと疼いてしまう。

「あっ… ぜんぜん、ちがっ… あぁ!!」

 刹那、生き返ったかと錯覚する程の意識の明滅がチカチカと起こり、思わず悦の声を漏らしてしまう。これはただのお手伝い。そうだと分かっていても、この身体は当に先生以外のものでは何も感じなくなってしまっていたことを今になって気づかされる。

 思えば私が記憶を失くしてから今日までずっと、この人と一緒にいて、犯され続けたのだ。あのカラダだけのクズ男じゃ感じなくても何もおかしくはない。この身はすでに先生専用器であり、先生がいないと生きていけない身体に作り替えられてしまっていたのだ。
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