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Q 強制受精で生まれる私
第13章 5.0度目
『ふあっ!! あんっ!! んんっー!! だめっ!! 激しっ!! いぃい!!』

『…どうやら、痛くは無さそう、ですね。締め付け凄いから、また切れないか、心配ですけど、ね!!』

『くぅう!! だめぇ!! じゅぽじゅぽ!! だめぇえっ!! 壊れちゃうぅう!!』

 轟轟と焚かれていた火が一気に消されたかの様に、振り切れそうな昂りが瞬時に収まっていく。先生も私も時が止まってしまったのかピクリとも動かず、二人の呼吸だけが動くことを許される。神話の中の人達が絶対的な存在である神を前にした時の様に、私は再生されたDVDの映像に釘付けになる。

 この声。この台詞。この場所。この人達。
 それら全てに、身に覚えがある。

『くっ…今の浜園さんの中…凄い、ですよ。別の生き物みたいで…そんなに、欲しかったんですね。』

『ちがっ!! んんっ!! 違うのぉ!! これはぁあ!! カラダが!! ふあぁあ!! かってにぃ!!』

 憶えていない訳がない。忘れるはずもない。
 そう、これは私達。
 己が性に溺れ、存在や自我、全てひっくるめて奪い、与え、混ぜ合う行為に耽りながら、確かにここに存在していた私達。
 
「あ…あ…あぁ…」
 
 先生のが…彼のが大きくなっていく。まるで養分を限界まで吸い上げた植物の根の様に…むくむくと今までの何よりも太く、何よりも張りがあり、何よりも熱く逞しくなっていく。私を突きたい、貫きたいという確かな欲を持った彼の魂が、私の魂の上でゆっくりと動き始め、徐々に加速度を増して、いい加減起きないかと目覚めを促す。

「あっ…あっあっ…せん…せんせっ。せんせいっ!!」

『…一発目。|射精《だ》しますよ。イッて下さい。』

『出しっ!? いや!! いやぁあぁー!!できちゃう!! できちゃうからぁあー!!」

 来る。来る。先生が。私が。来る!!
 暗転と明滅を繰り返す意識の濁流に溺れそうな私を、先生が息を吸わせるかのように顔を鷲掴みして無理やり対面させる。

 その眼には…


「おかえり…穂伽さん。」


 澄んだ人間の目をしている先生の眼には、はっきりと私が写っていた。

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