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Q 強制受精で生まれる私
第15章 6.0 度目
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 気がついたらまた夢の中にいた。

 何度も見せられきたからか、もう自分が何者なのかは勿論、この世界がどこなのかさえ瞬時に分かる。いわゆる明晰夢というものなんだろうけど、審美眼が養われた今の私にはこの夢がいつもと違うということまでも分かってしまう。

  いつかどこかで見たことある部屋の中で、私は地縛霊の様に一人佇む。ここには私一人しかいないけど、かといって寂しいかと聞かれたらそうでもない。一部ボロボロに破損したガラクタが散見されるとはいえ、ここにはまだ傷ひとつない新鮮味を保つ物達で溢れている。そのガラクタでさえ芸術品の域に達したかの様な佇まいで、固く冷たい床に伏しているのだから、まるで私は美術館に一人いるような気分になって思わずほくそ笑む。

 数多のガラクタ達の中で一際目立つ、1メートルは優に越える大きな人形。爪先から髪の先、顔の作り、頭部から額へと滴る赤い糸…どれをとっても完璧なまでに人間を再現した一級品だ。近くでボロボロに横たわる赤いペンキで汚されたスタンドライトが対比となり、その造形美がより一層際立っている。

 あまりに美しくて思わずその頬に手を触れると、少し生ぬるくも私自身よく知っている皮膚の感触が私を出迎える。壊れ物を扱うように愛おしく頬をくしゅくしゅとまさぐるのは、想像以上の快感を私にもたらす。

 指を巧みに動かして頬肉から頬骨、下顎、うなじ、耳裏へと這わせていく。10本分の皮膚の感触はそれぞれ違う色味を持ったシグナルとなって私に伝わり、私の脳髄をじんわりと麻痺させていく。
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