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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第2章 ごみ捨て場の神さまと金の薔薇
「簡単な連想じゃあないか。まさか君たちの調べが及んでいないというわけでもあるまい」
「……んなもの、どこで、」
「おや、ご存知ではなかったかね」

 サアカスなどの巡業芸人が帝都で興行するには、一定の許可がいる。

 公序良俗に反する公演は打つことができない。数年前行われた大改革により、その基準は厳しさを増している。露崎が好きであった舞台も、ひとつ、この基準に引っかかって、つぶれた。つぶされた。

 許可を得ていない、ということは、許可を得ることができるような内容ではない、ということだ。ある程度健全でもいつの間にやらなくなっていることは多々あるが、西園寺の云う「見世物小屋」という言葉が、おそらくは改革以前でも許可を得られなかったであろうことを語っている。

「……おかしいと思ったなら、通報してください」
「私にその義務はないね。だいたい、あのような場で仕事を得ているものも、一定数いるのだよ。君たちに彼らの誇りを踏みにじる権利はない。もちろん私にもね」

 まあ、あの見世物はまったく私の好みではなかったけれどね。

 儚げな顔でつんけんと云ってのける彼女に、怒鳴りつけたい衝動と、露崎は戦うはめになる。

「まあでも、ひとつ、それなりに素敵な子がいたね」
「すてきなこ?」
「客引きの、自動人形のような子。髪は艶やかな濡れ羽色、紅いひとみは硝子のよう。あれは、あいらしかった。サアカスに囚われて歌っているのなら、そうだね、私のお人形にはなってくれないものかね」

 この子たちは、だあれも、私のためだけには歌ってくれないからね。

 目の前の女の我慢を知ってか知らずか、はたまた気付かぬふりをしているものか。西園寺は手元から目を離し、部屋を埋める大量の人形を見回して、そんなことを話した。
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