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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
紗英子は一度目の手術を受けて、子宮の一部を摘出した。妊娠を強く望んでいるため、もちろん、子宮そのものは残している。仮に妊娠したとしたら、流産の確率は高くなるし、出産も帝王切開で行うことになるけれど、それでも、妊娠できないよりははるかに良い。
一縷の望みを賭けて、再び治療が始まった。更に二年が経っても、紗英子は妊娠できないままだった。そして、最後通牒が突きつけられた。子宮筋腫の再発。
もう、これ以上の子宮温存はできないと言われた。万が一、温存したとしても、妊娠する可能性は限りなく低く、かえって病気の再々発を招く原因になるだけだとも。
その医師の言葉は、つまり、もう全摘しか道はないと告げているのも同じだ。それを聞いた日、紗英子は一晩中、泣き明かした。もう、自分に子どもを持てる道は一切、閉ざされてしまった。可愛い赤ちゃんをこの腕に抱ける日は永遠にめぐって来ない。
一縷の望みを賭けて、再び治療が始まった。更に二年が経っても、紗英子は妊娠できないままだった。そして、最後通牒が突きつけられた。子宮筋腫の再発。
もう、これ以上の子宮温存はできないと言われた。万が一、温存したとしても、妊娠する可能性は限りなく低く、かえって病気の再々発を招く原因になるだけだとも。
その医師の言葉は、つまり、もう全摘しか道はないと告げているのも同じだ。それを聞いた日、紗英子は一晩中、泣き明かした。もう、自分に子どもを持てる道は一切、閉ざされてしまった。可愛い赤ちゃんをこの腕に抱ける日は永遠にめぐって来ない。