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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
何故か、それが二日前に見た淫らな夢の中の男女と重なり、紗英子は眉をしかめ、慌ててチャンネルを変えた。
それにしても、あの夢の中の女は誰だったのだろう。一旦は忘れかけていた疑問がまた意識の水底からぽっかりと顔を出した。
しかし、次の瞬間、紗英子は眼を見開いた。
今度も局は違うが、民放である。こちらは、いつもこの時間帯はワイドショーをしていた。先ほどのメロドラマよりは少しはマシだけれど、こちらも有閑主婦向けに作られたお粗末な内容の番組といった感がある。
まるで紗英子が美容院や銀行の待ち時間に読む女性週刊誌そのものの情報ばかりが続く。
が、その日は違った。画面に大写しになっているのは、誰かの記者会見らしい。椅子に座った女性タレントが涙ぐみながら、記者の質問に応えている。
―幡多(はた)さん、最後にひとこと、お願いします。現在、日本の法律では代理母出産というのは認められてはおらず、不妊に悩み代理出産を望む女性たちは皆、海外に渡って代理母を捜すしかありません。そんな過酷な状況の中、子どもを持つこと、母親になることを諦めず果敢な努力を続けている方たちにアドバイスして頂けませんか。
それにしても、あの夢の中の女は誰だったのだろう。一旦は忘れかけていた疑問がまた意識の水底からぽっかりと顔を出した。
しかし、次の瞬間、紗英子は眼を見開いた。
今度も局は違うが、民放である。こちらは、いつもこの時間帯はワイドショーをしていた。先ほどのメロドラマよりは少しはマシだけれど、こちらも有閑主婦向けに作られたお粗末な内容の番組といった感がある。
まるで紗英子が美容院や銀行の待ち時間に読む女性週刊誌そのものの情報ばかりが続く。
が、その日は違った。画面に大写しになっているのは、誰かの記者会見らしい。椅子に座った女性タレントが涙ぐみながら、記者の質問に応えている。
―幡多(はた)さん、最後にひとこと、お願いします。現在、日本の法律では代理母出産というのは認められてはおらず、不妊に悩み代理出産を望む女性たちは皆、海外に渡って代理母を捜すしかありません。そんな過酷な状況の中、子どもを持つこと、母親になることを諦めず果敢な努力を続けている方たちにアドバイスして頂けませんか。