この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠

妊娠や出産は本来、神の領域なんだ。俺ら人間が勝手にコントロールしちゃいけないんだよ。
直輝が囁くように言った。
紗英子は思わず笑い出した。
「何を寝ぼけたことを言ってるの? 直輝さんはいつからクリスチャンに改宗したの? それとも牧師にでもなったつもり? 本当にね、心から子宝を望む女には、天の意思も神の領域もそんなものは一切、関係ない。それは自分たちの受精卵じゃない―第三者の受精卵を使うっていうのなら、私だって初めからそんなことをしやしないわ。そんなことをするくらいなら、今、あなたが言ったように施設から身寄りのない子を引き取れば良いだけだもの。でも、私たちはまだ我が子を持てるチャンスがあるの。ならば、私はその一縷の可能性に賭けてみたい。あなたの血を引く子どもをこの手に抱いてみたいの。それが、そこまで責められるほどいけないことなのかしら」
直輝が囁くように言った。
紗英子は思わず笑い出した。
「何を寝ぼけたことを言ってるの? 直輝さんはいつからクリスチャンに改宗したの? それとも牧師にでもなったつもり? 本当にね、心から子宝を望む女には、天の意思も神の領域もそんなものは一切、関係ない。それは自分たちの受精卵じゃない―第三者の受精卵を使うっていうのなら、私だって初めからそんなことをしやしないわ。そんなことをするくらいなら、今、あなたが言ったように施設から身寄りのない子を引き取れば良いだけだもの。でも、私たちはまだ我が子を持てるチャンスがあるの。ならば、私はその一縷の可能性に賭けてみたい。あなたの血を引く子どもをこの手に抱いてみたいの。それが、そこまで責められるほどいけないことなのかしら」

