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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅤ(覚醒)
果たして紗英子は、それに気づいているのかどうか。有喜菜は、相変わらず涙ぐんで〝良かった〟を連発している紗英子を突き放した眼で眺めた。
どうやら、あの様子では、有喜菜が醒めた眼で昔の親友を見ていることなど考えてもいないのではないか。
全っく、どこまでもおめでたいというか、自分勝手な女。
またしても苛立たしい想いに駆られながら、有喜菜は呟いた。
「喉が渇いたんだけど」
紗英子がハッとした表情になった。
「あっ、そう? そういえば、そうよね。私ったら、気がつかなくて、ごめんなさい」
紗英子は慌てて立ち上がり、傍らのバッグを手にした。
今、有喜菜が入っている部屋も特等個室であり、贅を凝らしたこのクリニックの部屋の中でもひときわしゃれた内装である。恐らく聞いてはいないが、一日が相当の値段につくはずだ。
どうやら、あの様子では、有喜菜が醒めた眼で昔の親友を見ていることなど考えてもいないのではないか。
全っく、どこまでもおめでたいというか、自分勝手な女。
またしても苛立たしい想いに駆られながら、有喜菜は呟いた。
「喉が渇いたんだけど」
紗英子がハッとした表情になった。
「あっ、そう? そういえば、そうよね。私ったら、気がつかなくて、ごめんなさい」
紗英子は慌てて立ち上がり、傍らのバッグを手にした。
今、有喜菜が入っている部屋も特等個室であり、贅を凝らしたこのクリニックの部屋の中でもひときわしゃれた内装である。恐らく聞いてはいないが、一日が相当の値段につくはずだ。