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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第9章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
「走ったりしたら駄目よ、しかも階段を二段飛ばしだなんて。もし転んで落ちたりしたら、どうするつもり?」
 声がつい尖ってしまったのは、この場合、致し方ないだろう。
 有喜菜は小首を傾げ、紗英子を探るように見つめた。
「別に子どもじゃあるまいし、そこまで心配して貰わなくて大丈夫よ」
「だって、有喜菜の身体には赤ちゃんがいるのよ?」
 私と直輝さんの赤ちゃんが。
 言いそうになって、紗英子は慌てて口をつぐんだ。
「―時間も過ぎてることだし、そろそろ行きましょう」
 有喜菜はそれについては触れず、二人はどこかぎくしゃくした雰囲気のまま眼に付いたイタリアンレストランに入った。
 紗英子は、あさりときのこのバジル風味のパスタ、有喜菜はチーズカルボナーラを注文する。
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