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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第9章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
「紗英。忠告はありがたく聞くけど、これだけは言っておきたいの。私はあなたたちの子どもを生むという仕事を引き受けた。極力気をつけて無事に元気な赤ちゃんをあなたに手渡せるようにはする。でも、だからといって、別に妊娠期間中の私の生活すべてをあなたが管理して良いわけじゃない。私だって、逐一、あなたの干渉を受けるのはいやだわ」
 私の務めは元気な赤ちゃんを生むことであって、それは私自身が気をつければ良いんだし、あなたが私の私生活にまで入り込んできて良いということにはならないのよ。
 どこか苛立ったような言い方は有喜菜らしくない。
「―」
 紗英子は押し黙った。確かに、有喜菜の言葉は理に適っている。紗英子は有喜菜から元気な赤ん坊を受け取れば良いのであって、そこから先―有喜菜のプライベートまでに立ち入る権利を得たわけではないのだ。
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