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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第12章 ♦予知夢~黒い霧~♦
私にはもう、この子しかいない。
紗英子は赤ん坊を抱く腕に、ほんの少しだけ力を込めた。先ほどまで涙の膜の向こうでぼやけた花の色が今は、はっきりと見えた。
澄んだ冬の陽射しが眼にも鮮やかな紅色の花を優しく包み込んでいる。外は身を切るような寒さにも拘わらず、その花の周囲は温かさと希望に溢れているようでもあった。
紗英子には、その先に自分と我が子の未来が続いているように思え、思わず微笑していた。
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