この作品は18歳未満閲覧禁止です
月琴~つきのこと~
第3章 第二話 【月琴~つきのこと~】 一
惣右衛門は嘉平太に言った。このような仕儀にあいなり真に相済まないけれど、折角、先様のありがたいお志でこれまでつながっていたご縁だ、もし叶うならば、これより後も是非親戚付き合いをさせて頂きたく、厚かましい願いではあるが、当家の末娘と夫婦となり信濃屋を継いでは貰えまいか―。
愕くべきことに、嘉平太はこの申し出を受け容れた。こうして、妙乃は唐突に姉の身代わりとなって嘉平太と結婚し信濃屋の若内儀(わかおかみ)となった。