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月琴~つきのこと~
第4章 第二話 【月琴~つきのこと~】 二 
 寄合は夜四ツ(午後十時)には終わり、後は有志で祇園へと繰り出したという。そのことは後に惣右衛門が他の店の主人から聞き出したのだけれど、嘉平太が祇園に出かけたのは明白であった。
 良人が帰宅した時、妙乃は既に布団に入っていた。嘉平太が部屋に入ってきた刹那、安っぽい脂粉と酒の匂いが入り混じった饐えた異臭が鼻につき、妙乃は思わず吐き気を憶えた。所帯を持ってから半年を経た今もまだ、嘉平太との間には夫婦の交わりはない。
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