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月琴~つきのこと~
第4章 第二話 【月琴~つきのこと~】 二 
 しんとした静けさが部屋の中を支配する。
 秋草の咲き乱れる庭からは虫の声が絶えることなく響いてくる。
 妙乃は固唾を呑んで、嘉平太の次の言葉を待った。
「私は、ただ義姉さんの、あの女(ひと)の守りたかった信濃屋の暖簾をあの女に代わって守り通したいと思ったんだよ。あれほどの責任感のあるお人が男のためにすべてを棄てた。
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