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月琴~つきのこと~
第1章 第一話【宵の月】 一
 小文は絶句した。治助は口ごもりながら言った。
「でも、けして最初から見るつもりはありませんでした。大番頭さんに卯之助さんを探してくるように言われて、それで探している中(うち)にここまで迷い込んでしまったのも本当です。裏庭に来てしまって、どうしようかと途方に暮れていたところに、水音がするんで近づいてみたら、丁度、お嬢さまが井戸で脚を洗っていらっしゃいました。あんまり綺麗な脚だったんで、つい見とれてしまったんです」
 小文は呆気に取られて、治助の告白を聞いていた。
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