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月琴~つきのこと~
第1章 第一話【宵の月】 一
「妹―、私はあなたにとって、妹のようにしか見えないの」
落胆が襲い、新たな涙が溢れる。治助の無骨な手が小文の背をあやすように軽く叩いた。
「ねえ、私は、あなたの妹なの?」
涙に濡れた瞳で見上げると、治助が狼狽えたように視線を逸らした。
「そんな眼で見ないで下さい。そんな眼で見つめられたら、俺は何をするか判りません。このままお嬢さまをここで無理矢理自分のものにしてしまうかもしれない。これでも、一生懸命我慢してるんです」