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第2章 デビュー

どうしよう……今日決行するつもりだったのに……

「人が多すぎると無理だから」と平日昼間に行くことに決めたまゆだが、当日になるとまた迷ってしまい心が揺れる。

今まで優等生を演じてきたけど、あまりいいことなかったし……

まゆが自分の心に語りかける。

父親が会社を経営している地方の裕福な家庭に生まれたまゆは地元の女子高を卒業したあと東京の私立大学に進学して念願のひとり暮らし、大学生には贅沢な駅近の1LDKの部屋に住み、卒業後は父の秘書をすることが決まっている。

恵まれた生活をさせてくれる両親の期待に応えて「高校までは優等生を演じるけど、大学に進学したら東京で羽を伸ばす」はずだったのに、現実には「読書が趣味の地味な大学生」の生活になってしまった。

卒業後は実家に戻るんだし、東京にいる間に冒険してみたい……行動しなさい！　行動しなさい！　まゆ！

自分を奮い立たせ、まゆは身仕度をして部屋を出る。