この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 2
第24章 姫橋祭

三年一組の担任である倉木が夏期講習に復帰したのは、盆明けだった。盆はさすがに講習はなく、教師達も休みらしい。学校自体が閉まっていた。
休み明け一発目は英語。倉木は英語教師なので朝から居たが、久しぶりに見る彼女はまるで別人のようだった。
「せ、先生、痩せた……?」
「っていうかやつれたよね?」
「ねえ、目が死んでる!」
「先生ほんとに学校来て大丈夫なのか?」
頬がこけ、目元もくぼんでいる気がした。見るからにげっそりしている。
生徒達は口々に倉木の身を案じた。
「ええ、どうにかね。心配かけてごめんなさいね。胃腸炎でしばらく食べられなかったから、ちょっと体力がね……」
よろよろとおぼつかない足取りで過去問を配り始めたが、手を滑らせてしまったようでずざざざーっと床に雪崩れる。
「あ……」
間の抜けたような倉木の声と、一瞬シーンとなる教室。
「もー、あたしやるんでいいですよー! 病み上がりの先生は座っててください」
席を立ち、素早く過去問を拾いあげたのは菊池明だった。
明は慣れた様子で問題を生徒がいる席に置いていく。
そして配り終えると中にざっと目を通し、鍵になりそうな熟語や構文を黒板に書いた。
教卓に座り、その様子を眺めていた倉木は安心したように笑う。

