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Memory of Night 2
第24章 姫橋祭

五月の三者面談の前に渡されたもので、もう今さらすぎる気もするが、宵は一応持ってきてはいた。
提出するついでに、進路を大学進学に決めたことだけでも報告しようと思っていたが。
「ねえ、よ、宵くん!」
「ん?」
席を立とうとしたところで、突然女子生徒に声をかけられる。
顔をあげると、宵の机のまわりには三人の女子がいた。
「……何?」
(誰だっけ?)
一人はクラスメートなのでわかるが、他二人は違うクラスの子達でわからない。
夏期講習は学年全体でやるので人は混ざるが、顔や名前まで覚えてはいなかった。
「えっと……っ」
勢いよく呼びとめてきたわりにはなかなか用件を言わず、しばらく微妙な間があいた。
ようやく一人が話し出す。
「三十一日……予定、空いてたりする?」
「その、もし良かったらだけど……、あたし達と姫橋(ひめばし)祭行かない?」
「あー……」
そういえば、もうそんな時期か、と思う。
姫橋祭は毎年八月三十一日にある夏祭で、姫橋神社で開催される。神社と行っても敷地は広く、公園も隣接していた。
昼間は屋台も出て賑わい、夜には花火も上がる。この近辺で一番大きな祭だった。
宵は一瞬視線をさ迷わせ、告げた。
「……ごめん、バイト」

