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フレックスタイム
第1章 午前7時の女
ケンも社長も美味しそうに朝食を食べてくれた。
私は味見しながら朝食とお弁当を作ってたので、
あまり食欲も湧かなかったから、
玄関から新聞を取ってきて社長に渡すと、
カフェオレだけ淹れて飲んでた。

社長にも食後のコーヒーを淹れた。


食器は軽くお湯で流してから食洗機に入れると、
ケンの手を引いて、
歯磨きを一緒にして、身支度完了した。


「あれ?化粧とか、した?」と社長が言うので、

「私、メイクしないんです」と言うと、
ちょっと驚いた顔をしていた。


「あっ、眉は描きましたよ?」と言い訳はした。
だから、ノーメイクじゃないですからと。


「佐藤さんって…
面白いね」と社長は笑った。


まあ、社長室の秘書のヒト達から比べると、
同じ女子には見えないんでしょうね?

「ありがとうございます」と笑って、
ケンと手を繋いだ。


「あっ、これ。
使い方、判るよね?
暗証番号は、ショートメールにもしておくから」と、
鍵とセキュリティ用のカードを渡された。

家を出る時にセキュリティ掛けるのを見せて、
「セキュリティの解除も同じ要領だから」と言った。


前日の朝と同じ運転手さんが運転する車に乗った。
ケンが一番奥で外が見えるように、
私は真ん中、社長はその後に乗った。


会社で社長は車を降りると、
ケンはあっさり手を振った。

そのまま、幼稚園に向かい、ケンを送り届けると、
マスクをしてから車で会社に戻った。

タイムカードを打つと、
いつもよりかなり遅い時間だった。

そして、いつも通りの仕事に没頭した。


15時少し前にタイムカードを押して会社を出ると、
幼稚園にタクシーで向かった。

ケンをピックアップすると、
社長の家の周りにスーパーがなかったのを思い出して、
一緒に途中のスーパーに立ち寄って、
夕食の為の食材を買った。

今日は、フライドチキンが食べたいと言うので、
適当に買い物をした。


社長の家に戻って、
庭でサッカーをするというケンに付き合って、
苦手な外遊びに付き合った。

日焼けも苦手なので、
外の物置にあった大きな麦藁帽子を被ったけど、
それ、多分、庭師さんが使うような全くオシャレからは程遠いモノで、
私を見て、ケンは楽しそうに笑ってた。


夕食の時間に社長は戻ることはなく、
連絡も来なかったので、
2人でご飯とお風呂を済ませた。
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