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フレックスタイム
第2章 秘書室へ
ふと目が覚めたら、
何故か社長に膝枕されていた。

社長は、私の髪を撫でていて、
視線を感じて、
慌てて目を瞑ると、

「起きちゃった?」と言うので、
起き上がろうとしたら、

「もう少し、このままで居て?」と言う。


「そのまま寝ちゃっても良いよ。
俺、佐藤さんのこと、
どんどん好きになってる。
バツ2のオッサンの戯言なんて、嘘っぽいかな」
そう言いながら、昔話を始めた。


「1度目の結婚は、学生結婚だった。
大学4年の時に、同じサークルに居た他の短大のコ。
積極的でさ、飲み会の後に俺の方がホテルに連れて行かれたくらいで。
シャワーもしないで押し倒されたからな。
俺、男子校だったし、学部もほぼオトコだったから、
免疫つけようと悪友に誘われて入ったサークルだったけど、
結構ストイックに大会とかも出ててさ。
めんどくさいし、女の子と付き合うのもスルーしてたんだよね?
あ、勿論、童貞ではなかったけどさ。
それでさ、子供出来たって言われて、
ゴムもつけてたし、その後もそういうことはなかったけど、
責任取らないとなって思って入籍したんだよ。
俺の両親は結婚認めてくれなくて家を出て、
なかなか大変だったな。
でもって、俺がいきなりサラリーマン辞めて起業しようとしたところで、離婚届置いて実家に帰ったんだよね。
有名大学卒業で一流企業勤務じゃないなら、
意味がないって言われたよ。
意味がないだよ?
向こうの親もカンカンで、
話し合おうにも会わせてもくれないまま終わったよ。
半年ももたなかった。
結婚だってさ、子供出来たって言われて慌てて入籍したけど、
それ、嘘つかれてたんだよ?
結婚したいからって、そんな嘘つくとか、信じられない。
しかも、社長のひとり息子だから結婚したのに、
勘当されるとは思わなかったとか言われてさ。
ホント、参ったよ。
まあ、子供居なくて、結果良かったのかもしれなかったけどね」


思わず、社長の方を向こうとしたけど、
社長は髪を撫でながら、私の動きを止める。

学歴も一流企業も問題じゃないのに。
一番大切なのは、
心。
そして、愛情なのにね。

私はそれを痛いほど知っていたから、
ギュッと社長の手を握り締めた。
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