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第1章 コイントス

私はクスリと笑った。

「そんなに女を抱きたいの？」

「抱きたいさ。」

そう言うと京太郎は、私にキスをしてくれた。

「女を抱くと、仕事も上手くいく。一種のバロメーターだな。」

「バロメーターねぇ。」

私は、頬杖をついた。


そう言う男は、浮気癖がある。

女が歳をとると、若い女の方へ行くのだ。


「特に君のようないい女を抱くと、男として自信がつくね。」

「いい女……」

そんな事、ベッドに入る時に、腐る程言われてきたわ。

男なんて所詮、抱く事ができれば、お世辞なんて言いたい放題なんだわ。


「あーあ。結婚の話してたら、気が滅入ってきた。」

「ごめん。」

「いや。七恵ちゃんも、普通の女なんだって、知れてよかったよ。」