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蒼い月光~くの一物語~
第12章 朱里の誠の敵討ち

「やめてー!」

朱里を汚らわしい山賊の目に
触れさせたくはなかった。

「俺は大丈夫だ。行け!!」

疾風がウズメの背を押した。

刀を振り回し、敵を威嚇しながら
一目散に棺を護ろうと走った。

「その汚い手をどけろー!!」

棺の蓋に手をかけてる山賊の頭の腕を
切り落とそうと上段に構えたウズメのわき腹に
激痛が走った。

矢が深々とわき腹に突き刺さっていた。

『ぐっ!まだ敵が隠れていたのか!』

鏃(やじり)には毒が塗られていたのだろう
ウズメの体は瞬く間に痺れて自由を失っていた。


「あばよ!年増のくの一さんよ!」

頭の刃が頭上から振り下ろされた。

次の瞬間、ウズメは袈裟懸けに体を切り裂かれた。


「ウズメー!!」

痛む足を引きずりながら、
疾風はウズメのもとへ駆け寄ろうとした。

だが、その背中に何本もの刃が刺し貫いた。

「うぎゃー!」

切っ先は背骨を削り、内臓を切り裂いていた。

「ウ‥ウズメ‥‥」

目が霞み、視力が失われる前に
かろうじてウズメの手を握った。

ウズメはすでに絶命していた。

『待ってくれ、俺も逝くから‥‥』

ウズメの体に重なるように疾風も絶命した。


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