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蒼い月光~くの一物語~
第5章 くのいち修行

ウズメたち家族3人は
村の外れでヒッソリと暮らした。

戦場(いくさば)を逃げ出した
情けない「くの一」と
走れなくなった間抜けな「忍び」の夫婦だと、
揶揄された声が何度か耳にしたが、
夫婦はそんな声など気にも止めなかった。

だが、娘の朱理のことを 戦場(いくさば)で、
歩兵に輪姦されて出来た子だとか、
きっと親に似て、ひねくれ者に育つなどと
陰口を叩かれたら、 烈火のごとく怒り、
そう言うことを言った家に乗り込み
殴り合いの大喧嘩をした。


朱理は栄養失調で発育が遅れたものの、
言葉を話し始めるのも早く、
歩き始めるのも早かった。


『この子、もしかして…』

朱理の忍びとしての素質を見抜いたのは
疾風であった。

「朱理は、くの一にさせない」

ウズメはいつもそう言っていたが、
村人から相手にされない家族なのだ。

二人が老いてこの世を去ったら
独りきりになってしまうことを疾風は危惧した。

『くの一になれば、
下忍であったとしても食っていける』

そう考えた疾風は、
ウズメが洗濯をするために
川へ行ってるわずかの時間に
朱理に忍の手ほどきをした。




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