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FREE BIRD
第76章 エピローグ
美穂が筋張った手を伸ばした。


僕はその手をシミだらけの僕の手で取り、握る。


「誠…あれ…あれ読んで…」


彼女は力ない小さな声で僕に言う。


あれとは僕が離れていた間にしたためていた非公開ブログの日記だ。


それをプリントして、美穂に読ませたのはもうかれこれ四十年も前の事だ。


何度も読むから、僕は美穂の為に印刷屋でちゃんと製本してもらった。


世界でたった一冊の本だ。


それももうかなりボロボロだ。


まるで今の僕達のようだった。



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