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Kiss Again and Again
第8章 それから

  海は 息をするように甘やかな嘘をつく。
 その甘美さゆえに わたしは 信じているふりをする。 自分が何者でもないのを気がつかないふりをする。
 ふたりとも お互いの嘘に気がついているのに そんな素振りはみせない。


 傷つきたくないから。
 嘘になれてしまったから。
 終わらせたくないから。

 でも 指の間から零れ落ちる砂のように 確実に何かが失われ 手の中のものは消え去り すべてが色あせていった。

 

 12月初め ラブチェアにかかっている海のコートをハンガーに掛けようとしたとき 折り畳んだ白い紙が落ちた。 何気なく開いた。 銀座の宝石店のものだった。 『仕様書』とある。

 ”A”という文字の横棒をチェーンを通して表している 所々にメレダイヤが埋め込まれた18金のオーダーメイドのペンダントトップだった。
 ”A”という文字に 心躍らされた。
 わたしへのクリスマスプレゼントだと思った。

 紙を元通りに畳んで コートのポケットにしまった。
 クリスマスを待ち望み カシミアのマフラーを買った。 「あなたに首ったけ」


 そして アクアマリンのイヤリングをもらった。
 澄み切ったブルーは 冷たい色だった。


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