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Kiss Again and Again
第10章 裏切り

 なぜ その日 ぼんやりしていたのか。

 いつも 自分の部屋の明かりを確認して 家に戻るのに その日は 確かめるのを忘れて部屋の鍵を開け 無造作にドアを開いた。
 部屋が 明るい。
 瞬時に 海の靴を確認した。

 慌ててドアを閉めた。 「あゆ」と呼ぶ声が聞こえたような気がした。
 そのまま 走った。 エレベーターを待たず 階段を駆け下りた。
 どこへ向かっているのか わからないまま 走り続けた。

 途中 片方の靴が脱げたけど 拾うと 履きもせず 裸足で走った。 
 あまりの痛みに 靴を履き直し ただ道のあるところを 走った。
 胸が潰れるほど苦しくなり ようやく 走るのをやめた。

 闇雲に走ったため 自分がどこにいるのか わからなかった。
 もう少し 歩いてみて どこかで住所を確認しようと 明るい場所を目指して ぽつぽつ歩いた。

 息が整ってくると 惨めで情けなかった。 何から 逃げたのだろう。


 名前を呼ばれたような気がして とっさに また走った。

 「あゆっ まって」
 聞き覚えのある声に その主を探した。
 「あゆっ こっち ここよ」

 ハザードが点滅する車の助手席から 純子ちゃんの顔が覗いている。 端正な顔が 心配そうに歪んでいる。

 見覚えのある顔に こんな広い東京の夜の街中で 出逢えたことが信じられない。

 しばらく 動けなかった。

 「あゆ・・・ あゆ・・・」

 その優しい呼びかけに 泣きながら近づいた。
 「どこかへ行くところ? よかったら 乗って」

 助手席で 泣き続けるわたしに
 「このまま たつにぃを迎えに行っても 大丈夫?」
 「う・・・ よかったら どこかの駅の近くで 降ろして」
 「このまま うちに泊まらない?」
 「でも この前・・・ 迷惑かけたばかりだから」
 「家まで 送って行く? 帰っても 大丈夫なの?」

 「ごめんなさい・・・ また 泊めてください・・・」

 「たつにぃの顔が 見ものだわ」

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