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Kiss Again and Again
第10章 裏切り

 海の胸を 両手で押した。
 そのまま 押し続けた。

 「あゆ? きいて」

 押し続けて 玄関のドアまで来た。

 「あゆ・・・ 僕には あゆだけだから・・・」

 ドアを開けて 靴を渡し 海を押し出した。


 「さよなら」

 それ以外に 何も言えなかった。



 「あゆ・・・」



 ドアを閉めた。

 鍵をかけた。

 できることは それだけだった。



 どれだけの時間そうしていたのか。 玄関に座り込んだまま 電話が鳴るのを聞いていた。 のろのろと立ち上がり 居間に戻った。 どうせ海からだろうと 電話は無視した。

 テーブルの手付かずのコーヒー。

 あの日は コーヒーから湯気が出ていたっけ。 今は 冷めてしまっている。



 テーブル脇の紙袋。 渡すのを忘れてしまった。
 それは 想定外だ。



 いい・・・
 このまま 眠ろう・・・
 明日 考えよう・・・

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