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Kiss Again and Again
第2章 大学生活
 それから 東京タワーに背中を向けて 手をつないだまましばらく歩いて こじゃれたイタリアンハウスに入った。
 グラスワインを飲み 笑いながら 映画の話をいっぱいして 好みがそっくりなのを確認しあった。


 「いつ 気がついたん?」 
 何を言っているか それだけで わかった。
 「ハンフリー・ボガードより 男前や、って 言ったとき」
 「そんなに すぐ?」
 「苦しそうだったから」

 高梨さんが 立花海先輩のことを好きなのには すぐに気がついた。 同じ苦しみを知っているから。

 「それじゃあ 何回くどいても なびかんはずや」
 「ボクが男やったら 絶対 愛美ちゃんのこと 好きになんのに、なぁ」
 「ボクは 男でしょう?」

 まだ 笑えた。 もうすぐ 笑えなくなるだろうけど。

 「右手と左手やから おんなじ人を好きになるかもしれんなぁ」
 そう言って 寂しそうに首をかしげた。

 高梨さんが 会計をしてくれた。
 「ええとこのぼんぼんやから」
 まだ 笑える。

 明大前の駅に着いた。
 「家まで 送らんでええの?」
 「泣き叫ぶ、から」

 もうすぐ 「あんみちゃん」と呼ばれることが なくなる。

 家路へと急ぐ人達の中 立ち止まって 高梨さんは じっとわたしを見おろした。


 「そんな顔するんやったら もっかいキスしとこ」
 そう言って 冷たい唇を重ねた。 重なった唇のまま 「さいなら、や」と言った。


 身体を離すと すぐに背を向けた。
 「あっ マフラー・・・」
 「記念や」

 振り返らず 歩き去った。

 右手をなくして カシミヤのマフラーが残された。

 それっきり
 高梨さんには 会わなかった。

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