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Kiss Again and Again
第14章 新しい扉

 「あゆ・・・ ヤツはとんでもないクズだけど あゆのことは好きだったと思うよ。 だから 綺麗な思い出まで歪めたり、汚したりしなくて いいんだよ。 全部 あゆの人生なんだから 全部そのままにしておいていいんだよ。 これは あゆが ほぼ乗り越えた、と思うから言うんだけど」

 「私だって Jとのことは 人生最大の惨事だけど 彼は 今だに私の人生の男トップスリーのひとりだから。 ひでだって イイ男だったし 付き合ってよかったと思っている」


 「海が あんなに綺麗じゃあなければ・・・」
 それは 内なるつぶやきだったはずなのに 声に出てしまった。

 「ありゃ・・・ それ・・・」

 わたしは 恥ずかしいのと悲しいのと わけがわからなくなりながら ほのかちゃんに 言ってしまった。
 「海が あんなに美しい男でなければ ”あいたい”って 言えたかもしれない」

 ほのかちゃんは ゆっくり瞬きをして 「わかるよ」を伝えてくれた。


 それなのに わたしは樹さんに 「あいたい」と伝えることができずにいた。

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