パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第4章 デート

　
　「愛美ちゃん　聞いた？」

　学食で　純子ちゃんとランチしている時　青木さんから話しかけられた。
　「新入生歓迎会　寅さんだって」
　「とらさん、って　誰？」　純子ちゃんの方が　先に反応した。　その　きょとん、とした様子がおかしくて
　「寅さん、って　あの　『男はつらいよ』の　寅さんですか？」

　青木さんのために席を空けて　笑いながら聞いた。
　「あの　寅さん、以外　ないでしょう？」
　「寅さんの　映画を観るんですかぁ？」
　笑いがとまらない。
　「あゆは　そーゆーの　好きなんだ？」　
　純子ちゃんが　真面目くさった顔で言う。
　「好き、とかじゃあなくて　歓迎会だから」
　「あゆには　寅さん　似合わないけど」
　「だから　新入生の歓迎会なんだって」
　「言っておくけど　あゆのイメージ　崩壊したから」

　三人して　寅さんの話で　しばらく盛り上がった。　誰が言い出したのだろうか、とか　誰が賛成したのだろうか、とか　そんなことを言い合って　久しぶりに　笑った。　高梨さんが聞いたら　どんなにか盛り下がるだろうか、とおかしかった。

　柴又に行って　散策し　寅さん記念館を訪ね　その後は　飲み会らしい。
　青木さんは　孫の代まで語り継ぐとか　笑わせてくれるし。
　とにかく　糸の切れた凧のままで　いるわけにはいかないから。
　とにかく　日常を取り戻したいから。