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Kiss Again and Again
第18章 再 会

 カップを見つめていた海の視線が わたしを通り越し 何かに注がれている。

 振り返ると ホビーラックの上に置かれたジュエリーボックスが目にとまった。 本来あるべき場所から持ち出され 乱雑に中身をこぼしている。

 海は カップを置くと そこへ向かった。

 
 前もって 着けてゆくアクセサリーは決めておいたのに その日の朝になって これでいいのかどうか 心配になった。 樹さんに逢えることに 心が ゆるめのゼリーのように震え続ける。 何もかもに迷い 決められない。 慌ただしく 違うアクセサリーを試していたら 時間がおしてきたため ジュエリーボックスは出しっ放しにしたまま出かけたのだ。 
 いつもだったら そんなだらしのないことはしないのに 心が浮き立って 気にもならなかった。

 散々かき回したために 小さなジップのビニール袋に入ったアクセサリーのいくつかが こぼれ落ちていた。 一番底にしまっておいたはずのアクアマリンのイヤリングの小袋も 落ちていた。

 「どうして これを捨てなかったの?」 アクアマリンのイヤリングを手に取り 平坦な声で聞く。
 「愚かな自分を 忘れないために」

 勘違いしないで。

 海は 焦点の合っていない目で わたしを見る。
 「本当は これじゃなかったんだ」
 「・・・?・・・」
 「クリスマスプレゼントは 本当は違うものを用意していたんだ」

 なんのこと?

 「何ヶ月も前から デザイナーと相談して・・・あゆを喜ばせようとして・・・」

 えっ・・・ あの仕様書?

 「世界にひとつだけのプレゼントを用意していたんだ」
 まだ わたしから目を離さない。
 「世界で一番好きな人のために」


 「それを アリサが見つけて。 自分用だと 勝手に・・・」

 あのとき・・・
 カフェテリアで あのとき
 ”A”という字のペンダントトップを指先で摘み ジーッ ジーッと動かした。
 あの音。 心臓を切り刻んだ冷酷な あの音。
 蔑みの目。

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