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Kiss Again and Again
第19章 恋愛事情

 電車で 海のマンションまで行くことになった。

 日曜日の電車は 久しぶりだ。 まばらな乗客の中には 臭いの元を探そうとする人もいた。 それに気がつくと わたし達は 共犯者めいた笑いを交わし 少し移動した。

 海は引越していた。
 新しいマンションは 以前の部屋より広く 以前の部屋より片付いていて 物がなかった。 生活感がほとんどなく 個性もなかった。

 「いつ引越したのですか?」
 「あれから すぐ」

 「あれから」 はいつのこと?

 以前の部屋は 物が多すぎて 海という人が隠されていた。 今は わかる。 海だって 誰かに見つけて欲しかったはずだ。

 「なぁんにもないのね。 誰も住んでいないみたい」


 殺風景な部屋は わたしを謙虚にさせた。
 わたしには 海を責める資格がある、 冷たくあしらって突き放してもいい、という傲慢さが 部屋の殺伐とした感じによって 消え去った。
 わたしは 自分の間違いにうなだれるくらい慎み深くなった。

 「前の部屋のものは ほとんど捨ててしまったからね」

 ソファもテーブルも 見たことのないものだ。

 「あゆは お見事 何も置いていかなかったんだね。 あゆのものは何もなかった」


 海は 着替え ビールの臭いのするスーツをクリーニングに出すと言った。
 「クリーニング屋さんまで 乗せて行ってもらえますか?」
 「かしこまりました」

 どこかで 緊張感まで消えてしまった。 親密感が うっとおしいくらいふたりの間に漂っている。 うっとおしいのに 居心地は悪くない。

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