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第19章 恋愛事情

　金曜日の夜　海からラインがきた。
　予想はしていたけど　あまりにもそのまんまなので　おかしかった。　

　”秋を満喫するために
　ドライブしませんか？”

　休日の予定なんてない。　相手が　海でなければ　もっと素直になれるだろう。

　秋・・・


　「仲村愛美！　いるんでしょう！？」

　あの声を思い出すと　今でも震える。
　心が砕けて　ばらばらになった。
　嘘つきで　「愛している」と　たやすく言ってのける。　そういうことができる男だ。

　その後　樹さんに逢った。
　「僕を利用すればいい」と言われた。

　男なんて　こりごりだ、と思っていたのに　両脚を踏ん張って耐えたのに　また人を好きになってしまった。　そして　裏切りが待ち伏せしている未来が怖くて　繋いだ手を　離した。　その手で　背中を押した。

　そして　そして・・・　

　恋しい　恋しいと　心が呻く。


　ラインには　返信しなかった。

　呻く心の方を　選んだ。


　次の朝　海からスタンプが送られていたのに気がついた。　オムツ姿の赤ちゃんが　座り込んで泣いている。　少し笑った。