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ネットのプリンス
第1章 転落人生

時刻は夜9時を少し回っていた

自宅に帰り着いた市原洋介は
パソコンを起動させると、
クタクタにくたびれた体を
チェアに深々と沈みこませた。

静まり返った部屋に
パソコンから発するハードディスクの
ブーンという音がやけに大きく感じられた。

目がしょぼしょぼする・・・

洋介は瞳を閉じて両まぶたを
右手の親指と人差し指でまぶたの上から
軽く眼球を押し込んだ。

今の彼の職業は日雇いの土建作業員。

5年前までは財務省勤務のキャリア官務だった

しかし5年前のあの日から彼の生活は一変した。


接待を受けてほろ酔い気分で終電に飛び乗った。

週末の終電はかなりの混雑具合だった。
電車が揺れるたびに
ダラリと垂れ下げた彼の手の甲に
前に立っていた女性のヒップが
クニュと食い込んだ。

彼女も酔っていて
少しHな気分だったのか
洋介の手の感触を楽しむように
少し揺れただけでも、
ヒップをグイグイと押し付けてきた。

『おいおい・・・マジかよ・・・・』

かなり形の良いヒップだった。

そのうち彼女はポジションを少し変えて、
洋介の手の甲を
しっかりとヒップの谷間に導いた。


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