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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 243 秘密ではない秘密

 どうやら律子は銀座のクラブホステスではなく、銀座のデパートで働いてる事にしたようである…

「ねぇ、あんな綺麗な元モデルとどうやって知り合ったのよぉ」
 ノンは完全にヤジ馬的な感じになって訊いてくる。

 それはそうだ、若くて、綺麗で、元モデルの律子と、この目の前にいる40歳のおじさんの元彼がどうやって、いや、どうやったら知り合えるのか?…
 誰だって興味津々なのだ。

「え、あ、いやぁ…」
 事実は銀座のデパートではないから言葉に詰まってしまう。

「ふうぅ、疲れちゃったぁ」
 その時、律子が戻ってきたのだ。

「やっぱりぃ、子供達は元気過ぎてとても付いていけないですぅ」
 そう満面の笑顔を見せてくる。

 ああ、なんて笑みなんだ…

 本当にこんな律子の顔は初めて見る…

 そして元モデルという秘密、いや、ただ単に私が知らない事実なのであろうが、そんな元モデルという先入観を植え付けられてしまったせいもあって、そんな律子の新たな一面を見た感じになり、また、ドキドキと騒めいてしまう。

「律子さんてさぁ、あの『りっこ』だよねぇ?」
 突然ノンは直撃してきた。

「えっ、あ、はい、わたしのこと知ってるんですかぁ」
 すると、私の予想外の明るさでそう返事をしてきたのだ。

 別に隠している訳ではないのか…

 ただ単に、おじさんには縁の無い話しなだけなのか…

「わぁ、やっぱりぃ、わたしねぇ、ファンだったのよぉ…」
 と、ノンは明るく律子に色々と話し始めていく。
 そしてその会話には、おじさんの入る余地は全く無かった。

 私はふと時計を見る。
 午後3時少し前…

 ああ、なんだかんだ私は約四時間近く昼寝をしていたんだなぁ…
 時計を見てそう思いながら、売店へ歩いて行き、缶ビールとノンと律子の為にコーラを二つ買った。

 しかし、律子が元モデルか…

 本当に律子には色々な意味で驚かされるなぁ…
 そう思いながら缶ビールを一口飲む。

 だが、律子にはまだまだ私の知らない面が沢山ありそうだ…

 そしてそれが更にこれからどんどんと私を魅了して、いや、魅せてくれるのだろうか…
 楽しそうに話しをしているノンと律子の二人を見ながら、私はそう思っていたのである。

 これから律子は私に、どんな面を、どんな色を魅せてくれるのだろうか…




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