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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 56 大原本部長との電話(9)

 また、それを彼が、大原本部長がカバーをし、責任のケツ持ちをする…

 そして新たに彼が執行役員として参画する、吸収合併をして子会社化した保険会社を建て直す事が、わたしと彼の二人の、次への、更なるキャリアアップへのステップアップへと通じる事になるのである。
  
 だから、ある意味、わたし達は一蓮托生…
 二人で一つといえるのだ。

 そしてその成功を、わたしはこの大原本部長の陰の力、存在により、なぜか確信していた。


 彼がいれば、この先の困難も二人の力で乗り越えられ、必ず大成功をもたらすはず…
 という、確信と自信が不思議と湧いてくるのである。

 だから、今回のそのコールセンター部にとっても未知の新しい業態ではあるのだが、全く心配はしていないし、いや、逆にわたしはワクワク感さえしていたのだ…

 ただ唯一心配があると云うならば、それはわたしの体調、疲れ、コンディション…なのである。
 
 ただでさえ今も、既に、オーバーワーク気味なのをわたしは少なからず実感はしていたのだが… 
 だが現時点では、決して彼には絶対に弱音は吐けないと思っていたし、心に決めていたのだ。

 そんな弱音が小さな綻びを生む可能性であるという事は十分に分かっていたし、そしてなによりこの派閥絡みの厳しい世界で揉まれ、絡まれている彼には余計な心配は掛けたくはなかったのである。

 彼が、大原本部長が、わたしの、いや、わたし達の、そう雨除け、風除けの壁となってくれているのだ…
 と、わたしは常日頃、そう想い、感じていたのだ。

 だからこうして直接逢えなくても、電話では密に連絡を取り、会話をし、声を聞き、訊いて確認をする…
 これは例え二人の間でのプライベートで何かが起きたとしても、わたしと彼との間での絶対に変えられない事の一つであると決めているのである。


「あまり無理するなよ、それはお盆休み明けだっていいんだし…」
 そう考え、思っていると彼はそう言ってくれた。

『あ、はい…
 なんか心配してくれてるみたいで嬉しいわ…』
 本当に嬉しい。

「ばか、オーバーワークを心配してるんだよ」
 すると彼は、すかさずそう言ってくれたのである。

『えっ…』

 その彼の言葉にわたしは一瞬、言葉を詰まらせてしまった…





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