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第17章 もつれるストッキング1　　　　　松下律子

　72　準備室室長佐々木ゆかり(10)

　そしてわたしも…
　一緒にシェアすれば、公私を含めてきっと良い方向にいくかもと…
　本当にそう思ってきていた。

　すると…
「ええ、本当に甘えてもいいんですか？」
　と、下を向き思案していた伊藤さんが、顔を上げ、わたしを見ながらそう言ってきたのだ。

「うん、構わないわよ、それに多分、わたしの生活と伊藤さんの生活時間がかなりズレたりして違うから、わたしの居ない時間は好きに過ごしてもらって構わないし…」

　そう、わたしはこれからかなり多忙になるから…
　平日はあまり彼女とはブッキングしないと思われる。

「あ、はぁ…」

「それにシェアのルールはおいおいに決めればいいし…」

「いいんじゃないの」
　と、美冴さんが言い。

「そうよぉ、あっちんいいなぁ」
　と、越前屋さんも言ってくる。

　すると…

「じゃあ、とりあえずマンション見つかる迄という事で、お邪魔させてもらいます…」
　と、伊藤さんが言ってきた。

「うん、じゃあ決まりね…
　さっそく今夜から来る？」

「あ、いえ、荷物がえつの家にあるから、できれば明日からで…
　ま、荷物っていってもトランク一つなんですけど…」
　そう言う。

「え、トランク一つなの？」

「あ、はい、マンション解約のタイミングでロサンゼルスの両親の家にしばらく住むつもりだったんで、ほぼ処分しちゃたし…
　暫くはホテルステイのつもりでしたから…」

　伊藤さんは、キリっとした見た目通り、サッパリとした、そしてパッと切り替えができる性格なのだろう…
　彼女のそんな話しを訊いて、そう思った。

「じゃあ、明日からよろしくね」

「は、はい、こちらこそ、色々甘えちゃってすいません」

「ううん、そんな事ないわ…
　なんか、いや、なんとなく少し楽しみだわ…」

「はい、わたしもです…」
　そんな会話を少しして、ルームシェアが決まった。

　そして、しばし宴は続いていく…