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シャイニーストッキング
第18章 もつれるストッキング2      佐々木ゆかり
 62 伊藤敦子(28)

『わたしとぉ、美冴さんのどっちがいいのぉ?』
 と、敦子はわたしを抱き、弄り、いや、愛してくれながらそう訊いてきたのだが…
 それは根本的に比べられる様なモノではなかった。

 いいや、まるで違っていた…

 美冴さんとは…
 いや、あの夜は…
 
 お互いに、ううん、わたしが一方的に美冴さんに憧憬の想いの感情を、いや、彼女の美しさと妖艶さをわたし自身が心の奥から認め、そしてその存在感に対して彼、大原浩一の秘かなフェチの感情を察知をし、
嫉妬という感情をまずは抱いたのだ…
 そしてその嫉妬という感情は、これまでのわたしの人生の中で初めて感じた感情であり、それのお陰で彼に対しての愛情を再認識をし、更に強く抱く結果となったのである。

 つまりそれはわたしの新たな感情の揺らぎと、美冴さんに対する存在感への尊敬の想いを生まれさせ…
 そしてその感情を自覚する事によってわたし自身も女として、いや、大人の女としての成長にも通じる事になった。
 
 またそれらの感情は、これまでのわたしのプライドという無意識の深層の心理が、友情というわたしの今までには無かった新たな感情に上手く変換され、消化できたのだろう…
『憧憬と友情』という似て比でもある様な想いとなったのだ、いや、わたし自身はそう思っている。

 だからそんな美冴さんに対して無意識に憧憬からリスペクトをしてしまい…
 美冴さんの持つ妖艶な魅力への昂ぶる想いが友情という、いや、女同士の友情の延長としてのあの…
 ビアンの夜に繋がっていったのだと、わたしは考えていた。

 つまりは憧憬のリスペクトであり、昂ぶった友情の延長線上の自然に行き着いたカタチなんだと…

 だが…

 いや、しかし…

 今、こうしてわたしを抱き、愛してくれているこの伊藤敦子との関係は美冴さんに対する想いの昂ぶりとは全く違うのだ。

 こうして思い返せば越前屋さんに紹介され、初めて彼女を見た瞬間に…

 わたしの中に秘かに隠れていた、いや、違うかもしれない…
 美冴さんとの逢瀬により心の中に芽生えたビアンという秘かな、そして新たな感情が…
 無意識にこの伊藤敦子という女の、ビアンという性の魅力を感じ取り…
 魅かれ、惹かれてしまっていたのだと思われる。

 なぜならば、いや、その証拠に…
 



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