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シャイニーストッキング
第18章 もつれるストッキング2      佐々木ゆかり
 67 敦子の想い(4)

『あ…』

 そんな感じでお立ち台を眺めていると…
 その中にひときわ輝いて見える、いや、まるで女王様然とした存在に見える女に気付いたのである。

『うわぁ、な、なんて凛々しいの…』

 そしてただ凛々しく美しいだけでは無く…

 どう見ても、そのお立ち台の序列の頂点に君臨している女王様、いや、違う、周りの男達、ううん、女達もだ…

 その彼女を見る目がまるでお姫さまを見る如くの、憧れと柔和な、優しい目をしているのに気付いたのであった。

『お姫さまだ…あ、プリンセスだ…』

 それに気付いた瞬間にわたしの心は一気に、その彼女に魅せられ、惹かれてしまったのである…

『うわぁ、な、なんて美しいの…』

『なんて凛々しくてキレイ、綺麗なの…』

『まるで高貴な…お姫さま…みたい…』

 それらがわたしの感激した想いであった。

 そしてまた反面…

 その彼女の、お姫さまの魅力に魅かれ、惹かれる程…
 自分があまりにもガキで、幼稚である存在に感じられ、卑下した想いが湧いてきてくるのだ。

『あぁ、イヤ、もう帰ろう…』
 その時、本当にそう思った。

 そして…
『ゴメン、わたし帰るわ』
 その連れてきてくれたメンバーにそう伝え、帰ろうとした時であった。

『はぁっ、待てよ、そんな勝手に帰らせないよ』
 初めてその男が、そのオスの本性を剥き出しにして、わたしの腕を掴み、引っ張ってきたのだ。

『きゃっ』
 そう、あの頃のわたしはまだ本当の、男の、そして何も怖いものなんて知らない、無知な、ただのガキであったのだ…

 何で男達がわたしにチヤホヤと優しくしてくれるのか…

 男の、いや、オスの本性、下心なんて考えもしない、いや、今思い返せば、それまでが本当に、ただ、運が良かっただけだったのである。

 本当にバカで、無知な、ガキであったのだ…

 わたしにはその一緒に来た、いや、わたしにとっては親切に横浜から渋谷へ遊びに連れてきてくれたただの軽い男達が…
 男の本性を剥き出しにしてきたオスに感じられ、初めて恐怖心を抱いた。

 そして、なんとかその男の腕を振り切り、とりあえず通路へ…
 トイレのある方向へ早足で逃げたのだ。

 だが、本性を剥き出した男からは逃げ切れそうもなかった…

『ほら、待てよっ』

『えっ、イヤっ、か、帰るのっ』

 

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