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第19章 もつれるストッキング３　　　　　　　　　　常務取締役大原浩一

　13　復活の象徴

「ですからぁ、まずはその四人は直ぐに呼び戻すべきかなぁって？」

　さすがは越前屋だ…
　完全に私の狙い、思い、そして、この先の私への指針をも理解してくれているようであった。

　私はそんな彼女の言葉を聞き、また再び…
『やはり、意外と天下を取るのは彼女みたいなタイプなのかもなぁ…』
　と、心が囁いてきたのだった。

　だが、そんな優秀な越前屋朋美という彼女は今、まぎれもなく私の部下の一人であるのだ…
　私はそんな彼女を欠かせないブレーンの一人として認めている。

　そしてまたこの会社にとっての
『ジャンヌ・ダルク』的な象徴の存在でもあるのだ…
　これからも大いに利用、いや、助けて、助力して、アシストしてもらうのだ。

　そんなこの越前屋朋美を上手く活用し、そして旧態依然としていて、前常務という悪の独裁者に破綻寸前まで堕ちていたこの生保会社を、新しく生まれ変わらせる、いや、生まれ変わる為の象徴、シンボル、ヒロインとしてもどんどんと前に出していく…

「うん、そうか、じゃ、まずは最初は誰から呼び戻せばいいと思う？」
　私はそんな事を思い、考えながら彼女に問うた。

　きっとこれから暫くは彼女の思うままに、いや、彼女の読み通りにしていけば、この生保会社の再生計画は上手く、順調に歩み始める筈なのだと思っていた…
　なぜならは、彼女、越前屋朋美がこの生保会社の今までの流れを見て、聞いて、いや、藻掻き、足掻きながら泳いできていたから。

　今、ようやく溺れる寸前であった彼女は浮かび、いや、岸辺にたどり着き、復活を、再生の道標を歩き始めるのだ…
　そしてそんな彼女の後押しをこの私がする。

　それが傾き、破綻寸前であったこの『◯△生命保険株式会社』を短期間に、一気に再生し、盛り上げ、復活する動きに確実になるはずだから…