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シャイニーストッキング
第19章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一
 178 その応え… 

 つまりは、彼女、竹下雪恵秘書が、いわゆる『枕接待』を彼、大原常務にした、強要したという事の非礼に対する謝罪の言葉であろうとわたしには想像できた。

 そしてそれは…

 昨夜一人で彼、大原常務を待っている間に、わたしをイタリアンレストラン前で待ち伏せし、できる事なら口説き落とそうとしたのだが、失敗し、開き直った青山一也からの会話から聞いていた上でのわたしの想像なのだ。

 だが、その想像は間違ってはいないみたい…

「え、あ、さ、昨夜の事は、そ、そのぉ、永岡支社長には、できれば、な、ナイショにしていただけたら…」

 それはつまり、彼、大原常務のそんな青山曰くの『おみやげ接待』の拒否に対する証明の言葉といえ…
 わたしの想像の肯定をも意味する。
 
 それにもう一つ…
 その悪しき慣習である『おみやげ接待』の失敗は、彼女、美人秘書としての新潟支社内での立場の失墜をも意味するのであろうのだろうと、わたしには思えた。

 いや、だがその思いは彼も同じ思いらしく…
「え、なんの事かな?」
 なんと、彼は、大原常務はそう彼女に応えたのである。

「えっ?」

 そしてその彼の応えは…
 つまりは、昨夜の『おみやげ接待』の内容を青山一也から聞き及び、そして彼、大原常務本人からの必死の言い訳によりその接待の拒否、彼女の未遂という事実を知っているわたしにとっては…

 改めて、彼の人間性の…
 男としての… 
 社内改革を謳う常務としての…

 いや、わたしの愛している大原浩一という一人の男としての…
 彼の懐の器の大きさを表す応え、答えである言葉といえるのだ。

 


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