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第11章 絡まるストッキング5　　　　　　和哉と健太

　51　ラストチャンス

「うん、お腹すいたなぁ、そうだあの僕の店に行こうか…」
「ええ、いいけどぉ、バイト休みなのにぃ、よく自分のお店に行く気になれるわねぇ…」

「いや、あれ、僕、あの店のドリアが好きなんだよ、それにバイト割引きもあるしさ…」

　実はそれは真っ赤な嘘なのであった…

　再びの美冴さんの来訪が必ず、それも、必ずこの最近の内に有る筈だという、何の確信もないのだが…
　なぜかそう胸騒ぎがして収まらないのである。

　しかも昨夜見掛けた美冴さんは働く女性の姿、美しさを纏っていたのだ。

　だから勝負はこのお盆休みの世間的な９連休中であろう…
　と、胸騒ぎがそう言ってくるのである。

　だから、少しでも店に、あの自分のバイトしているファミレスに行きたいのであったのだ。
　出来ればこの９連休中全部にバイトのシフトを入れたい位なのであった。
　だからこの真実に悪いが昨夜、この９連休中に色々と画策を考えていたのである。

　真実には悪い…

　だが、仕方がない事なのだ。

　この駒沢大学入学…　
　
　そして上京…

　このファミレスでのアルバイト…

　この四年間の全ては、昨夜のあの一瞬といえた出会い、再会の為にあったといえるのだから。

　だから、この最初で最後のチャンス…

　いや、ラストチャンスに悔いの残らない様に全ての想いを掛けたいのである…

　しかも、勝負は９連休中の前半だろう…
　確信のない想いが、なぜかそう心に囁いて止まないのであった。